【かわごえ里山田んぼ通信】 「いのち育む有機稲作」稲葉光國先生を偲ぶ

12月11に急逝された 稲葉光國先生を偲びここに追悼します


 稲葉先生は、日本での無農薬栽培農法を科学的に研究して、その理論と実践を確立され、佐渡のコウノトリ、豊岡のコウノトリ米、千葉県いすみ市の全量有機米給食を可能にするなど、日本のいのち育む有機稲作の草分け的存在でした。

そして、ネオニコチノイド系の農薬の使用と共に、劇的に激増していった子供たちの精神疾患に心を痛め、講演のたびに子供たちの将来を懸念され、学校給食の有機米に渾身の力を注がれていました。

その代表的な事例が、千葉県いすみ市の全量有機米の学給給食化でした。

国内はもとより、無農薬有機農法のビジョンを掲げた幸せの国ブータンにも手を差し伸べられ、これまで3年間ブータン国での有機米栽培プロジェクトにも力を注がれ成功を収められました。かわごえ里山からもこのプロジェクトに会員が参加しました。

稲葉先生の農法は、特別なものではなく植物や生きものの生態を科学的に観察して解き明かし生態系の力を活用する方法でした。無駄に生きものを殺さない、自然の生態系を壊さない、これはまさしく地球環境を守り、人にも環境にも優しい持続可能な農業でした。
また、雑草との闘いを決して除草とは言わず抑草と呼ぶ心優しい指導者でもありました。

かわごえ里山イニシアチブでは、2015年の「かわごえ里山2015田んぼフォーラム」の講演会を皮切りに、第1回「種まきから育苗管理」、第2回「抑草・収穫までの管理」、第3回「稲の生育診断」と稲の生育に合わせて3回シリーズの有機稲作ポイント実地研修を行いました。

このポイント研修は「いのち育む有機稲作 循環型有機農業のすすめ」としてDVDと1冊のテキストにまとめられ今年の9月に贈られてきました。

11月下旬の田んぼ勉強会で稲葉農法の勉強会を行った矢先の訃報でした。これらは稲葉先生のこれまでの貴重な研究の成果と想いが込められた遺作となりました。

かわごえ里山は、引き続きいのち育む有機稲作に挑戦し、稲葉先生の遺志を引き継ぎ、生きものにやさしい農法で子供たちを守り、人と自然が共存する新しい環境が創造される社会に貢献していきたいと思います。


添付の写真は、福田の田んぼで指導中の在りし日の
稲葉光國先生
稲葉光國先生のご冥福をお祈りしたい。
 
尚、DVD「いのち育む有機稲作 循環型有機農業のすすめ」を視聴されたい方はお申し出ください。
原則的に1週間無料貸し出しをします。民間稲作研究所で3000円で購入もできます。